悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
体育祭が終わると、次に近付いてくるのは中間テスト。
あたしはいつも通りにやろうと思っていたのだけど……。
「今日、秋史くんが来るのよね? お茶用意しなきゃ」
「ひより、わざわざ来てもらうんだからしっかりやるんだぞ」
キッチンで忙しなく動くお母さんに、ゴルフ雑誌をめくりながら言うお父さん。
わざわざって……お父さんが勝手に家庭教師頼んだんじゃん。
少しうんざりしつつ「はーい」と間延びした返事をして、自分の部屋へ向かった。
6月最初の土曜日である今日、秋ちゃんはあたしに苦手な科目を教えに来てくれる。
テストは今月末だし、ありがたいことではあるけど、あたしはあたしのペースでやりたいのに。
……と言っても、結局またイラストを描くのに夢中になって、勉強がはかどらないってことになりそうだけどね。
フライヤーは、候補の3枚を先週スロースで柳に渡して、ユアフールの皆で決めたら連絡をもらうことになっている。
早くテストなんて終わってほしいな。気兼ねなく絵を描くことに集中したいよ。