悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

二時間の勉強を終えると、秋ちゃんはお父さん達と少しだけ会話を交わして帰っていった。

キッチンのシンクに空になった二人分のティーカップを入れ、ふぅと息を吐き出す。

休日にもかかわらず仕事しているのか、ダイニングテーブルにノートパソコンを開いたお父さんが、あたしに話し掛ける。


「勉強、はかどったか?」

「まあまあ……」


本当はあんまりだけど……と思いながら答えると、お父さんはパソコンの画面を見ながら軽くため息をついた。


「大地の方が受験で大変なのに、心配なのはひよりなんだよなぁ。今度のテストは、いい点取って父さん達を安心させてくれよ」


……あー、なんかもうイライラするなぁ。

たしかに大地は成績優秀だし何の問題もないだろうけど、比べられるのはやっぱりいい気分はしない。

それに、あたしはお父さん達のためにテストをやるわけじゃないんだけど。


そもそも、今日のカテキョだってお父さんが勝手に頼んだりしなければ、柳とケンカになることもなかったのに。


くすぶっていた不満がむくむくと膨らんで、あたしの口からはこんな一言が飛び出した。


「……お父さん、あたし付属の大学には行かないから」

「おぉそうか。じゃあどこへ………………って、えぇぇ!?」

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