悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
ついに言っちゃった……!

ひょっとこみたいな顔をするお父さんにちょっと笑いそうになるけど、ダメダメ、緊張感なくなる。


「大学に行かないってどういうことだ?」

「他に進みたい道があるの。専門でも短大でも、絵の勉強が出来るところに行きたい」


初めて本心を打ち明けると、みるみるお父さんの表情が険しくなっていく。


「絵の勉強なんかしてどうするんだ、ただの趣味だろう? それで将来飯が食えると思ってるのか?」

「そんなのやってみなきゃわからないじゃない! 好きなことを仕事にしたいと思って何がいけないの!?」

「せっかく苦労せず大学まで順調に進める学校に入ったっていうのに、それを無にするなんて……」


頭痛がする、とでも言いたげに額を手で押さえ、ため息を吐き出すお父さん。

言い合うあたし達に、キッチンにいたお母さんも何事かとこっちにやってくる。

お父さんの説得はまだまだ終わらない。


「お前は社会の厳しさをわかってない。好きなことを仕事にしてる人なんて、ほんの一握りなんだぞ」

「その一握りに入ってみせるわよ」

「どうやって? 何を勉強してどんな過程を経て、どんな職種に就くんだ?」

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