悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
……言葉に詰まった。

悔しいけど、たしかにあたしは、まだ具体的なことは自信を持って答えられない。

口をつぐむあたしに、お父さんは険しい表情のまま言い捨てる。


「わーわーわめくのは、それをすべて答えられるようになってからにしなさい。てんで話にならん」

「っ……!」


何よ、その言い方……!

お母さんはまあまあといつものように宥めるけど、あたしの憤りはどんどん強くなる一方だ。

ダメだ、またこの間と同じ“ここにいたくない病”が発症してしまう。


「じゃあ、それを調べに行ってくる」


お父さんを一瞥し、見え見えの嘘をつくと、ダイニングの椅子にたまたま置いてあったバッグを掴む。

そして玄関へ向かおうとしたあたしを、「待ちなさい」とお父さんが引き止めた。


「柳くんのところへ行くのか?」


無視しようと思ったのに、突然柳の名前を出されて思わず足を止めてしまった。


「……何で、柳が出てくるの?」


ドアノブに掛けようとした手を一度引っ込め、後ろを振り返る。

お父さんはパソコンを閉じ、厳しい表情であたしを見据えて話し出す。

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