悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
こういう時ってなぜかタイミング合わないんだよねぇ。

何も悪くないのに謝ってくれる亜美は、『お土産買っていくからね』と言って電話を切った。


ブランコを軽く揺らしながらため息をつく。

亜美がダメならリカ……と思ったけど、今からじゃすぐ門限の時間になっちゃうし。

やっぱり柳──


「……って、ケンカしたんだった」


すぐ彼に頼ろうとしてしまう自分に嘲笑が漏れる。

謝れば仲直り出来るかな。でも何て言えばいい?

やっぱり秋ちゃんにキスされそうになっちゃったよ、ごめんね

なんて言えるわけないし。それに……


『忠告したんだ。“もうひよりには学校以外では近付かないでくれ”って』


お父さんがそんなふうに言ってしまったことも謝りたいけど、今さら謝罪してもどうにもならない。

柳は何もしていないのに、嫌な気持ちにさせて。

おじいちゃん達の家にも行きづらくさせちゃったよね。


「ごめんね、柳……」


何も知らないまま、これまでぬくぬくと生きていた自分が恨めしい。

あたしはずっと、良くも悪くも、守られてばかりだったんだ。

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