悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「この展望台見付けたのは、友達と遊んでた中学ん時でさ。今度誰か連れて来るなら、ひよりにするかなーなんて思ったんだけど」


夜景を眺めながら言う柳の横顔は、いつもに増してカッコ良く見えてドキッとする。

今の、何気なく言われた言葉にも。


「おじさんには近付くなって言われたし、お前も女子校なんか入っちまうし。どうせもう会わないだろうから、無理だなって諦めてた」


……そんなふうに思ってたなんて。

嬉しいけど、その時の柳の気持ちを考えると、やっぱり切ない。


「でも不思議なもんだよな。またこうやって会えてるなんて」

「うん。ほんとくされ縁だよね、あたし達」


そうは言ったけれど、やっぱりあたしはただのくされ縁だと思いたくないよ。

そんな、荒っぽい関係だと思いたくない。


「昔はいじめたり、からかったりしてばっかだったけどさ。もしもう一度会えたら、その時はひよりの力になってやりたいと思ってたんだ。
だから今回の進路のことも、俺も協力するから心配すんな」


力強い眼差しがあたしを捉え、胸が熱くなる。

どうしてあたしなんかのために、そこまでしてくれるの──。

< 249 / 292 >

この作品をシェア

pagetop