悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
口を閉ざしたまま何かを考えているようなお父さんを、まっすぐ見つめる。


「……お父さん。あたし、失敗しても苦労しても、自分が納得いくようにやりたいの。今のままだと絶対に後悔するから。
ちゃんと自信持って行きたいって言える学校も探すし、その先も見据えて頑張るよ。だから……応援、してほしいな」


お願いします、と深く頭を下げる。

ここまで言ってダメなら、“この頑固オヤジ!!”って殴り掛かってみようかな……

なんて、半分冗談半分本気のことを、身体を折り曲げたまま頭の片隅で考えていると。


「……わかったよ」


ため息混じりに、ゆっくりと言葉がつむがれた。

目を開いて顔を上げると、いくらか穏やかさを取り戻したお父さんがいる。


「そこまで言うなら、好きにやってみなさい」

「……お父さん!」


一気に顔がほころび、笑顔が広がるあたし。

しかし、それもつかの間、お父さんからは再び眉をひそめる。


「でも、柳くんとは付き合わない方がいい」

「っ、何で……!?」


お父さんってば、まだそんなことを言うの!?

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