悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
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お互いテストが終わるまで、ひよりと会うことはなかった。
俺はテストの出来はたいして気にしていないが、ひよりは前より点数がよかったらしく、ホッとしたとラインで言っていた。
そんなアイツがスロースにやってきたのは、7月に入ってすぐのこと。
完成したというフライヤーを見て、下書きからかなり進化した、その完成度の高さにすごく驚いた。
マイクを握って顔半分が隠された男の上半身と、隣には俺の相棒と同じ形のエレキギターが前面に描かれ。
空いたスペースに開催日時やバンド名が、音符やドラムのパーツに囲まれて記されている。
その歌う男がマジシャンみたいなハットとタキシードを身につけ、目の下にダイヤのマークを入れているのが、ひよりなりにバカっぽさを出しているのだとか。
あえてモノクロにされているが、皆の目を引くに違いないイラストは、俺達が望んでいた以上の出来だ。
これを見た瞬間、感動でついひよりを抱きしめそうになったけど。
いくら俺が何してたって気にしない客ばかりだと言っても、店内で熱い抱擁をするのは控えたよ、さすがに。