悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「欲しいの?」

「えっ? あ──!!」


俺に気付いた二人は、目を大きく見開いて「きゃあ!」と小さく叫ぶ。見た感じ一年生かな。

頬を紅潮させて驚いている彼女達に、掲示板に貼ってあったフライヤーを取って手渡した。


「とりあえず、これどうぞ」

「えっ、あ、いいんですか……!?」

「うん、ここにはまた貼るから」


ぽーっとしながら俺を見上げる二人に、にこりと微笑みかける。


「明日は友達も誘ってぜひ見に来てね」

「は、はいっ! もちろん!!」


黄色い声を上げる二人から離れてメンバーの元へ戻ると、右隣りに来た涼平が俺の肩にぽんと手を置く。


「めずらしー、柳が愛想振りまくなんて」

「一応呼び込みしとかねぇとな」

「僕も他校の友達に宣伝しといたけど、結構評判いいよ。ひよりちゃんのイラスト」


左側に並んで歩く相模に、「そりゃそうだろ」とまた得意げになって返すと、おかしそうに笑っていた。

明日一般公開で来た人にも、リハーサルの時間まではフライヤーを配るつもりだ。

たくさんの人に、バンドにもイラストにも興味を持ってもらえるといいんだけど。

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