悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「でもあのコ達、目がハートになってたよ。自分で言うのもナンだけど、俺らって結構女子にキャーキャー言われるじゃん? ひよこちゃん嫉妬しちゃうかもねー」


暗幕がひかれた体育館に入り、いつもと雰囲気の違う空間を見回す俺に、イシシッと笑いながら涼平が言った。


「さぁ、どうだか。でももし嫉妬したとしても、俺はアイツを不安にさせるようなことはしないから」


もし俺を選んでくれるなら、それは保証する。


「かぁっこいい~柳くん~♪」

「ウザい」


まとわり付いてくる涼平を引きはがしつつ、軽音部の皆が機材を設置しているステージに近付く。


「明日は勝負の日になりそうだね?」


肩に掛けていたベースを下ろしながら言う相模に、意味ありげな笑みを返す俺。

そう、明日こそひよりに想いを伝えるつもりだ。


いつも以上にハイテンションの涼平は、無言でケースからスティックを取り出しているサブに近寄る。


「ついでにサブもリカちゃんにコクっちゃえば? 俺が渾身のドラムさばきで愛のビートを刻むぜー!的な──」

「黙れハゲカス」


スティックを脇腹にグサッと突き刺された涼平は、「ハゲ、カス……?」と呟きながら悶えていた。


アホなやり取りに笑いながらも、まずはコイツらとライブを成功させなければと気合いを入れる。

そうしたら、今度こそうまくいきそうな気がするんだ──。




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