悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「……俺が人の頭をドラム代わりに鉄の棒振り回して、何人も病院送りにしたって噂、知ってますよね?」


えっ。サブさん、そんな噂あるの?

目をぱちくりさせるあたし達と、サーッと青ざめていく男達。

サブさんは眉間に寄せたシワをさらに濃くして、低く冷めた声で二人に言い放つ。


「ケガしたくなかったら、さっさと引いた方が身のためっすよ」

「くそっ……!」


先輩のくせに弱腰な二人は、捨て台詞を吐きながら去っていった。

あたし達は尊敬の眼差しを向けて、サブさんに群がる。


「サブさんすごーい! カッコいい!」

「助けてくれてありがとう!」

「いや、今少し休憩してたら絡まれてるの見付けたから。当然のことをしたまでだ」


うわー当然のことって言い切るとこも男らしい。

やっぱりサブさん、いざって時は頼りになる男!


「今の話は本当にただの噂だから、本気にしないでくれ」

と、ポリポリと坊主頭を掻きながら言う姿に笑っていると、彼はある一点を見つめて真顔になる。

その視線の先にいるのは、ぽーっとしているリカだ。

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