悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「これって、ユアフールを見に来た人達なのかな……」

「そうなんじゃない? だってほら、ひよりの描いたフライヤー持ってる人いっぱいいるし」


リカの言う通り、モノクロのイラストがあちこちに見える。

あたしも少しは皆の役に立てたんだろうか。

もしそうなら、すごく嬉しい。


すると、きゃあっ!という黄色い声がどこかから上がる。

それに反応してステージを見やると、黒いTシャツで統一した柳達が舞台袖から現れた。

その瞬間、わぁっと歓声に包まれる会場。


「えーすごい人気!」

「なんかもう、ただの高校生バンドじゃないみたいだね……!」


盛り上がりのすごさに、圧倒されるあたし達。

でもステージ上にいる4人は、平然と楽器の準備をしている。


あたしはドキドキしながら柳を見つめていた。

Tシャツに緩いクロップドパンツを合わせた、全身黒のスタイルがすごく似合っている。

手首に付けたリストバンドで額の汗を拭う姿もカッコ良くて、彼の一挙一動から目が離せない。


柳達が軽く音を鳴らしていると、中央でマイクを握った涼平くんが、あたし達にキラキラスマイルを向ける。

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