悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
大勢の観客の中のあたしを、彼の瞳が捉えた気がした瞬間。
今まで無表情だったその顔に、わずかな微笑みが生まれた。
──柳、あたしを見付けてくれたのかな……
しっかり見てるからね、という想いを込めて、あたしは小さく頷いた。
4人が目配せすると、涼平くんがスッと真剣な表情に変わって、まっすぐ前を向く。
今度は彼とも目が合った、気がしたけど。
……違う。涼平くんが見ているのは、あたしの隣の亜美……?
亜美を見ると、彼女もまっすぐ涼平くんを見つめていて、あたしはなんだか胸が締め付けられた。
すると、涼平くんは亜美から目を離さないまま、こう言った。
『君のために歌います。聞いてください』
響き渡る女子の悲鳴は、柳の勢いのあるギターの音色に掻き消される。
亜美へ向けられたように思えた言葉にキュンとしたのもつかの間、あたしもすぐに夢中になった。
相変わらず息ぴったりな三人の演奏。
アップテンポで明るい曲に、メンバーだけじゃなく見ている皆が身体を動かす。
わ……すごい、皆の一体感で会場が揺れてるみたい。
これが本物のライブなんだ……!
今まで無表情だったその顔に、わずかな微笑みが生まれた。
──柳、あたしを見付けてくれたのかな……
しっかり見てるからね、という想いを込めて、あたしは小さく頷いた。
4人が目配せすると、涼平くんがスッと真剣な表情に変わって、まっすぐ前を向く。
今度は彼とも目が合った、気がしたけど。
……違う。涼平くんが見ているのは、あたしの隣の亜美……?
亜美を見ると、彼女もまっすぐ涼平くんを見つめていて、あたしはなんだか胸が締め付けられた。
すると、涼平くんは亜美から目を離さないまま、こう言った。
『君のために歌います。聞いてください』
響き渡る女子の悲鳴は、柳の勢いのあるギターの音色に掻き消される。
亜美へ向けられたように思えた言葉にキュンとしたのもつかの間、あたしもすぐに夢中になった。
相変わらず息ぴったりな三人の演奏。
アップテンポで明るい曲に、メンバーだけじゃなく見ている皆が身体を動かす。
わ……すごい、皆の一体感で会場が揺れてるみたい。
これが本物のライブなんだ……!