悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
楽しそうにリズムに乗って弦を弾く柳と相模くん、豪快にスティックを振るサブさん。

その音に乗せて、甘く透き通った歌声を響き渡らせる涼平くん。

サビの部分で柳の声と合わさり、絶妙なハーモニーを奏でる。

友情と恋愛、そのどちらにも聞こえる歌詞は、大切な人への想いが詰まっていた。


あたしも亜美も、そしてリカも。

終始笑顔を弾けさせて、人目なんて気にせず身体を揺らす。

……でも。

流れる汗をそのままに、ギターを弾きながらマイクに向かう柳は、ものすごくカッコ良く、光り輝いていて。

胸が一杯になったあたしは、なぜか溢れそうになる涙を必死に堪えていた。



あっという間に曲は終わってしまい、体育館は大歓声と拍手に包まれた。

アンコール!なんて声も聞こえるくらい。


『ありがとうございましたー!』


とってもいい笑顔の涼平くんが大きく手を振ってお辞儀をし、柳と相模くんも軽く手を上げている。


「あーあ、もう終わっちゃうなんて!」

「一曲なんて物足りなさ過ぎるねぇ」


興奮冷めやらぬあたし達は、ステージ上から去ろうとしている4人を名残惜しげに見つめていた。

その時。

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