悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「あの時より少しはオトコの経験値上がった? いつでも俺が確かめてあげるけど」
悪魔の囁きに、ぞわわっ!と全身の毛が逆立つような感覚がする。
そして肩に彼の手が触れた瞬間、ビクンと身体が震えた。
「ぃやっ……!」
『──おい、そこのアンタ』
あたしが小さく声を上げたと同時に、ステージ上からマイクを通した声が響いた。
賑やかな会場が一瞬静まり返り、皆がステージに目を向ける。
舞台袖に戻ろうとしているメンバーの中で、柳だけが中央にいた。マイクに手を掛け、怖い顔でこちらを睨み据えている。
『そいつから手ぇ離せ』
柳……気付いてくれたんだ……
深山さんはぽかんとしつつ、言われた通りにぱっと手を離す。
すると、柳はギターケースを肩に掛けたまま、身軽にステージから飛び降りた。
ざわざわし始める人の波を押し退けて、呆然とするあたしのもとまでやってくる。
──ドキン、ドキン
光る汗や、眉間にシワを寄せていても綺麗な顔がはっきりとわかる距離に近付いて、激しく心臓が脈打つ。
「や、柳……?」
「あぁ、また君か」
立ち尽くすあたしと、うんざりしたような、面倒臭そうな顔をする深山さん。
悪魔の囁きに、ぞわわっ!と全身の毛が逆立つような感覚がする。
そして肩に彼の手が触れた瞬間、ビクンと身体が震えた。
「ぃやっ……!」
『──おい、そこのアンタ』
あたしが小さく声を上げたと同時に、ステージ上からマイクを通した声が響いた。
賑やかな会場が一瞬静まり返り、皆がステージに目を向ける。
舞台袖に戻ろうとしているメンバーの中で、柳だけが中央にいた。マイクに手を掛け、怖い顔でこちらを睨み据えている。
『そいつから手ぇ離せ』
柳……気付いてくれたんだ……
深山さんはぽかんとしつつ、言われた通りにぱっと手を離す。
すると、柳はギターケースを肩に掛けたまま、身軽にステージから飛び降りた。
ざわざわし始める人の波を押し退けて、呆然とするあたしのもとまでやってくる。
──ドキン、ドキン
光る汗や、眉間にシワを寄せていても綺麗な顔がはっきりとわかる距離に近付いて、激しく心臓が脈打つ。
「や、柳……?」
「あぁ、また君か」
立ち尽くすあたしと、うんざりしたような、面倒臭そうな顔をする深山さん。