悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
そんなあたし達の間に険しい表情のまま割り込む柳に、深山さんが笑って言う。
「ちょっとからかっただけだって」
「そうだとしても。前、奪っていいのは俺だけだって言ったけど、触れていいのも俺だけなんですよ」
ギュッと握られる、あたしの左手。
「コイツは俺がもらう」
──ハートが撃ち抜かれたような衝撃が走ったその瞬間、柳はあたしの手を引いて人の波をかい潜り始めた。
きゃーっ!と悲鳴が上がる中、あたしはただ彼の後についていくことしか出来ない。
「ちょ、待って……!」
亜美~リカ~~!!
置き去りの二人の方を振り返ると、彼女達は興奮した様子で手を振っていた。
その口は“ガンバレ!”って動いていた気がする。
そ、そっか、告白! でもまだ心の準備がー!
揉みくちゃになりながらテンパるあたし。
そんなあたしに気付くはずもなく、なんとかステージの前までたどり着いた柳は、楽しそうに見守るメンバー三人を見上げて告げる。
「藤沢とリカちゃんは頼んだ」
「おっけ。頑張ってね~」
しゃがんだ涼平くんが、亜美達と同じようにニコニコしながら手を振り、相模くんとサブさんも口元を緩ませて頷いていた。
「ちょっとからかっただけだって」
「そうだとしても。前、奪っていいのは俺だけだって言ったけど、触れていいのも俺だけなんですよ」
ギュッと握られる、あたしの左手。
「コイツは俺がもらう」
──ハートが撃ち抜かれたような衝撃が走ったその瞬間、柳はあたしの手を引いて人の波をかい潜り始めた。
きゃーっ!と悲鳴が上がる中、あたしはただ彼の後についていくことしか出来ない。
「ちょ、待って……!」
亜美~リカ~~!!
置き去りの二人の方を振り返ると、彼女達は興奮した様子で手を振っていた。
その口は“ガンバレ!”って動いていた気がする。
そ、そっか、告白! でもまだ心の準備がー!
揉みくちゃになりながらテンパるあたし。
そんなあたしに気付くはずもなく、なんとかステージの前までたどり着いた柳は、楽しそうに見守るメンバー三人を見上げて告げる。
「藤沢とリカちゃんは頼んだ」
「おっけ。頑張ってね~」
しゃがんだ涼平くんが、亜美達と同じようにニコニコしながら手を振り、相模くんとサブさんも口元を緩ませて頷いていた。