悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
確かめたい。柳の気持ちを、ちゃんと。


周りにはあたし達しかいない。

そよそよと静かに流れる風を感じながら、木漏れ日があたる栗色の髪と綺麗な顔を見上げると、とたんに喉が詰まるような感覚に陥る。


「あの……さっき深山さんに言ったのは、その……」

「もっかい聞きたい?」


もごもごと口を動かすあたしに、柳は軽い調子で言った。

でも、瞳はまっすぐあたしを見つめていて、真剣な表情。


「俺は、ひよりを他の男には取られたくないし、触れられたくもない」


ドキン、と鐘の音みたいに胸が鳴る。


「俺が奪いたいって思うくらいの女なんて、ひよりしかいねぇよ」



──胸が、きゅうぅっと締め付けられた。


あたし、いつの間にかそんな存在になれていたんだ……

だから、この間も今も、あたしをさらってくれたんだね。

どうしよう、嬉しすぎるよ……!!


感激で涙腺が緩み、ついでに表情筋も締まりがなくなっちゃって、泣き笑いみたいな変な顔になる。

そんなあたしを、愛おしそうに見つめたまま、柳はこんなことを言う。

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