悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
ようやく唇が離されると、とろんとしたままのあたしに柳が色っぽく微笑む。

そして、あたしの手からギターを取り上げた。


「初めてコレが邪魔だと思ったわ」


虜だと言っていた相棒をベンチに立て掛けながら言う柳に、思わず笑いがこぼれる。

彼は座ったままのあたしを少し後ろに向かせると、しっかりと身体を抱き寄せ、甘く囁いた。


「好きだよ、ひより」


──それは、シンプルで極上な愛の言葉。


「今までも、これからもずっと好き」



……初めてちゃんと好きって言ってくれた。

ストレートな愛情表現が、もう叫びたくなるくらい嬉しい。


「あたしも……ずーっと大好きだよ」


愛しい体温をぎゅうっと抱きしめ返して、あたしも想いを伝えた。

前髪をくっつけたまま見つめ合って微笑むと、どちらからともなく唇を重ねる。

きらきらと木漏れ日が降り注ぐ中、あたし達は幾度となくキスを交わした。




切っても切れない悪縁って、ある意味、運命的じゃない?

なんて思ってしまうあたしは、相当柳に惚れ込んじゃってるな。


──でも、あたしはそんな運命を信じたい。

離れることの出来ない愛が、いつまでも二人の中にあることを。





   ☆º°˚*ENDº°˚*☆


< 291 / 292 >

この作品をシェア

pagetop