悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
彼が振り向き、斜めに流された少し長い前髪から覗く大きな瞳があたしを捉える。
用があるわけでもないのに、なんか呼び止めちゃった……。
でも、これだけは言っておかなきゃ。
「あの、さっきはありがとね」
柳が助けてくれなければ、あたしは今頃あの肉食獣の餌食になっていたに違いない。
素直にお礼を言うと、柳はクスッと笑って小さく頷く。
「これからは気をつけろよ。ヒーローはそんなに都合良く現れねぇからな」
「あはは。うん、そうだね」
「じゃーな」
「うん」
ひらひらと後ろ手を振って、古い日本家屋の中へ入っていく柳を、あたしは何とも言えない気持ちで見ていた。
携帯の番号とか、聞いておけばよかったかな……聞いたところで連絡することなんてないだろうけど。
「“ヒーローは都合良く現れない”……か」
もう偶然会うことはない?
……ううん、あたし達はくされ縁だもん。またどこかでばったり会えるよ。
きっと、また会える。
そう自分に言い聞かせていて気が付いた。
あたし、柳と別れて寂しいんじゃん──。
用があるわけでもないのに、なんか呼び止めちゃった……。
でも、これだけは言っておかなきゃ。
「あの、さっきはありがとね」
柳が助けてくれなければ、あたしは今頃あの肉食獣の餌食になっていたに違いない。
素直にお礼を言うと、柳はクスッと笑って小さく頷く。
「これからは気をつけろよ。ヒーローはそんなに都合良く現れねぇからな」
「あはは。うん、そうだね」
「じゃーな」
「うん」
ひらひらと後ろ手を振って、古い日本家屋の中へ入っていく柳を、あたしは何とも言えない気持ちで見ていた。
携帯の番号とか、聞いておけばよかったかな……聞いたところで連絡することなんてないだろうけど。
「“ヒーローは都合良く現れない”……か」
もう偶然会うことはない?
……ううん、あたし達はくされ縁だもん。またどこかでばったり会えるよ。
きっと、また会える。
そう自分に言い聞かせていて気が付いた。
あたし、柳と別れて寂しいんじゃん──。