悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
そして、アーモンド型の綺麗な目の下にある小さなホクロ……

この人が誰なのか瞬時に理解して、あたしは驚きで目を見開いた。


「や──」

「何だよお前?」


だいぶ久しぶりに彼の名前を口にしようとしたけど、怖い顔をしてこっちを睨む先輩がそれを遮った。

あたしは思わず、彼の胸にぎゅっとしがみつく。


「邪魔すんなよ。誰だか知らねーけど、お前に止める権利あるわけ?」

「あー、それ言われちゃうと困るんすけど。でも、これだけは確実です」


先輩の威圧感に怯むことなく、むしろけだるそうに頭を掻くあたしの救世主らしい彼は。

次の瞬間、挑戦的な目つきに変わってきっぱりと言い放つ。


「こいつのバージンを奪う権利、あんたにはない」


──こぉら!!

いや、何も間違ってはいないんだけど、あたしは恥ずかしいよ!


見えない火花を散らすような男二人の狭間で、何でこんな事態になっているんだろうと、あたしは今日一日のことを後悔しまくっていた。

事の始まりは、数時間前に遡る──。



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