悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
あたしは柳によく意地悪されていたけど、なんだかんだで一緒にいるのは楽しくて、毎日のように遊んでいた。

幼稚園や小学校低学年の頃は、過保護なお父さんもあたし達が遊ぶのを微笑ましく見ていたっけ。


しかし。男の子から男へ、女の子から女へと成長していくあたし達に、どうやらお父さんはだんだん心配し始めたらしく。

あたしをある程度の年齢まで男子から遠ざけるために、女子校に入れさせようと考え始めていたんだ。


ちょうどその頃、給食費を入れたあたしの集金袋が無くなった事件が起こった。

犯人はやっぱり柳で、本人は『ちょっと借りてすぐ返すつもりだった』なんて、嘘か本当かわからないことを悪びれもせず言ってのけた。

お父さんに言ったら絶対怒り狂うのはわかっていたから黙っておいたけど、これにはさすがにあたしもキレたわよ。


そんなことがあったせいで、もう柳と一緒にいるのは嫌だ!と思ったあたしは。

お父さんが薦めてきた女子校に入ろうと、たいしてためらうことなく決めたのだ。


……そう、柳と離れたのはあたしが自分で決めたこと。

なのに、今それを少しだけ後悔しているのはどうして?

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