悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
幼稚園も、小学校ではクラス替えがあったにも関わらず、ずーっと同じクラスで。

ようやく離れたと思ったら、また今日会ってしまった。

でも、憎らしかったはずの柳に対する気持ちは、今はもう違うカタチになっているように思う。


二階に上がり、自分の部屋に入って電気をつけると、バッグを置いてコートを着たままベッドに仰向けに寝転んだ。

あたし、さっきから柳のことばっかり考えてるな。

凛々しくなった顔、低くなった声、変わらない意地悪な態度──。

深山さんにあんなに嫌な想いをさせられたのに、もうどうでもよく思えるくらい、あたしの中は柳に支配されている。


……あーあれかな。

すごく近い存在だった幼なじみがカッコ良くなっちゃったもんだから、手放したことを惜しいと思ってるだけだ、きっと。

携帯番号も、どこの高校に通ってるかすらも聞かなかったけど、いいんだよこれで。

あんな手癖の悪いヤツ、一緒にいたっていいことないもんね。


自分の中で結論付けると、ベッドから起き上がってカーテンを閉めようと窓際に向かう。

すると、壁に飾った一枚の草花を描いた絵が目に入る。

あたしが中学の時に美術の課題で描いて、知らない間にコンクールの賞を取っていたポスターだ。

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