悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
◇*°一番先に見せたいんだ
キャメル色のブレザーに、淡いモスグリーンのチェック柄スカートのおしゃれな制服に身を包んだ月曜日。
週三回、オルガンの演奏を聞きながら行われる礼拝のために講堂へ向かう最中、あたしは深山さんとのことをリカと亜美に正直に打ち明けていた。
目を丸くして驚く二人が同時に口を開く。
「よかった~! ひよちゃんが無事で……」
「そこまで行ったなら入ればよかったじゃない!」
……リカのとんでもない一言に、あたしと亜美は一瞬言葉を失った。
そしてみるみる険しくなるあたしの顔。
「好きでもない人とそんなこと出来るわけないじゃん!」
「ひよりがそーいう経験をしてくれれば、処女であるあたし達のお手本になるじゃない。いろいろ勉強させてもらいたかったのにな~」
この無神経お嬢めが!!
鼻歌でも歌い出しそうなくらい軽く考えているリカにつかみ掛かろうとするあたしを、亜美が必死に止めてくれた。
「そ、それにしても、柳くんが助けてくれて本当によかったね! 元気だった?」
亜美が話を逸らし、あたしも柳が言っていたことを思い出す。