悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
◆*°飛び込んでこいよ
約束のクリスマスイブ。
授業が終わると、あたしはすぐに着替えを入れたバッグを手に席を立つ。
「じゃ、行ってくるね亜美!」
「いってらっしゃい。頑張って!」
柳の高校に乗り込むことを打ち明けていた亜美は、あたしに小さなガッツポーズを作って頷いた。
リカにはもちろん内緒。
亜美は驚いていたけど、なんだかすごく嬉しそうにしていて、他校に初めて潜入するあたしを応援してくれていた。
トイレに駆け込み、用意していた私服に着替える。
似たようなスカートを選んできたし、丈が長めの今日のコートで隠せばバレずに学校を出られるはず。
──『ひよちゃんに真っ先に見せたいなんて、柳くんにとってひよちゃんは特別なんだね』
着替えながら、ふと亜美の言葉を思い出す。
……特別、なのかな。
ま、くされ縁の幼なじみだしね。
昔、柳が新しいおもちゃを買ってもらった時も、だいたいあたしに一番先に見せて自慢してたしね。
きっとその延長だよ。
あまり深く考えず、それ以上にちょっとイケナイことをするような緊張感とスリルの方が大きくて、あたしはドキドキしながら学校を出た。