悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「バンド組んだ当初は違う名前だったんだけど。会うたびに、俺達って練習ばっかやっててバカだよなーって話してて」
「あ……もしかしてそれで“ユアフール”?」
「そう。あの時先生に言われたフレーズを思い出して、“ユアフール”ってバンドバカな俺達にぴったりじゃね?ってことで改名したわけ」
名前の由来は何なんだろうと思っていたけど、そういうことだったんだ。
あたしからすれば、全然バカなんかじゃないんだけどな。むしろ尊敬しちゃう。
「俺は本気で将来ギタリストになりたいよ。叶う保証なんか全然ない夢だけど、俺にやれることってコレしかねぇからさ」
顔を上げて、柳は白い息とともに本音を空へと上らせる。
キラキラと瞬く星を捉えた綺麗な瞳が、今度はあたしに向けられた。
「お前、絵描くの好きだったよな?」
「あー、うん。覚えてたんだ」
「そりゃ覚えてるよ。それを将来やりたいとか考えないの?」
「……考えるよ。自分の好きなこと、仕事に出来たら素敵だなって」
それはきっと、誰もが思うことなんだろう。
世の中、そんなに甘くないことは十分わかっているけれど。それでも。
「ひよりも飛び込んでこいよ。少しくらい人の言うこと聞かなくたって、逮捕されるわけじゃないんだから」
──柳の明るい笑みは、あたしに勇気をくれるような気がした。
「あ……もしかしてそれで“ユアフール”?」
「そう。あの時先生に言われたフレーズを思い出して、“ユアフール”ってバンドバカな俺達にぴったりじゃね?ってことで改名したわけ」
名前の由来は何なんだろうと思っていたけど、そういうことだったんだ。
あたしからすれば、全然バカなんかじゃないんだけどな。むしろ尊敬しちゃう。
「俺は本気で将来ギタリストになりたいよ。叶う保証なんか全然ない夢だけど、俺にやれることってコレしかねぇからさ」
顔を上げて、柳は白い息とともに本音を空へと上らせる。
キラキラと瞬く星を捉えた綺麗な瞳が、今度はあたしに向けられた。
「お前、絵描くの好きだったよな?」
「あー、うん。覚えてたんだ」
「そりゃ覚えてるよ。それを将来やりたいとか考えないの?」
「……考えるよ。自分の好きなこと、仕事に出来たら素敵だなって」
それはきっと、誰もが思うことなんだろう。
世の中、そんなに甘くないことは十分わかっているけれど。それでも。
「ひよりも飛び込んでこいよ。少しくらい人の言うこと聞かなくたって、逮捕されるわけじゃないんだから」
──柳の明るい笑みは、あたしに勇気をくれるような気がした。