悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
心の中で、何かが動き出すようなもどかしさを感じていると。

柳は突然、何かを思い出したように「あ」と声を上げた。


「これ、お前にやろうと思ってたんだ。手出して」

「え?」

「クリスマスプレゼントってことで」


柳はあたしの手を取って、ジャケットのポケットから取り出した何かを握らせた。

小さな三角形の、薄いプラスチックみたいなもので、かの有名なネズミのキャラクターが描かれている。


「何これ、可愛い!」

「だろ。ギター弾く時に使うピックってやつ」

「へぇ~ピックってこんなデザインのがあるんだ……って! もらえないよ、大事なものでしょ!?」

「いっぱい持ってるから大丈夫。一個数百円で買えるし」


うそ……人のモノばっかり奪ってたあの柳が、あたしにプレゼントをくれるなんて。

にわかには信じがたい。


「……あんた、何か企んでたりしないでしょーね」

「そうか、その手があったか。じゃあこのお返しはその貧相なカラダで」

「おい!」


最低で失礼なことを言うアホバカ柳にすかさずつっこむ。

「ま、貧相ってこと以外は冗談として」と軽く笑う彼に、もう一度つっこんでやろうとすると。

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