悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
◇*°俺が教えてやる
クリスマスとお正月は、例年通り家族と家でごちそうを食べて過ごし、短い冬休みはあっという間に終わった。
これといった大きな出来事もなく、平凡な日常を過ごしているけれど。
少しだけ変わったことといえば、イラストを描く頻度が増えたことと、柳とラインのやり取りをするようになったことだろうか。
「リカ、今月の第三土曜日って何か予定ある?」
敵のコートでボールが行き交うのを眺めながら、同じチームであるリカに話し掛けるあたし。
今は体育でドッジボールをしている最中だ。
ポニーテールにした髪を揺らして、ジャージ姿のリカが不思議そうに振り向く。
「第三土曜日? 美容院に行こうかと思ってるけど」
「そっか。じゃあまた別の日にするって柳に言っとくね」
「えっ!?」
目をまん丸にして動きを止めるリカ。
敵チームにボールを取られ、狙われる立場になるも、同じチームの子が見事キャッチする。
緊迫したやり取りが行われているにもかかわらず、リカはまったく気にしていないらしい。
「スタジオに行く日のこと!?」
「うん、第三土曜日なら練習やるから見に来てもいいって言ってたんだけど」
「行く! 美容院は別の日にするわ!」