悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「でも、やっぱり自分を偽るのは良くないわよね。いつものきれいめな私で──あぅっ!?」


ちょうどこっちに飛んできてあたしがキャッチしたボールを、リカ目掛けて投げつけてやった。

ざまーみろ。ははは。


「ちょっとひより!? 何すんのよ!」

「ごめん、手が滑った」


あたしの奇行とぷんぷん怒るリカに、皆は爆笑。

その後も、きゃーきゃー逃げるような可愛いもんじゃなく、本気のドッジボールが続いたのだった。


 *


迎えた第三土曜日。

亜美も予定を合わせてくれて、あたし達は駅に集合した。

柳と涼平くんも、スタジオまでの道案内のために待ってくれている。


「いたいた、大崎くん!」


嬉しそうに声を弾ませて、服装もメイクもばっちりなリカが二人を指差した。


ギターケースを肩に掛けた長身の柳はそれだけでも目立つけど、容姿の良さはモデルと見紛うくらいで、涼平くんと並ぶと何かの撮影でもしているかのようだ。

ほら、すれ違う女子達がちらちらと二人を見てるもん。

例外なくあたし達も二人を眺めながら近付いていくと、気付いた柳が軽く手を上げた。

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