悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「三人はここに座って。疲れたらロビーでくつろいでていいからね」

「ありがとう。でも練習の邪魔にならないように見てます」


椅子を指差してあたし達を気遣ってくれる涼平くんにそう返すと、相模くんが微笑みかける。


「そんなに気にしなくてもいいよ。今日は僕達もがっつり練習っていうより、皆に楽しんでもらえるようにやるつもりだから」

「観客がいると俺達もやる気出るし」


チューニングしながら言う相模くんと柳の言葉に、少し安心した。

でもあたしの右隣に座る亜美は、今日が初めてだからか、やっぱり緊張するみたいでそわそわしている。

それを解すべく、あたしは彼女の耳元に顔を寄せて囁く。


「最初は音が大きくてびっくりすると思うけど、すぐ引き込まれちゃうよ。皆本当にすごいから」

「そうなんだね。ドキドキするけど楽しみ!」


笑顔を見せてくれた亜美と、あたしも同じ気持ちだった。

またあの感動を味わえると思うと、ドキドキわくわくする。


あたし達が期待を込めた視線を向ける小さなステージ上で、皆の準備が整うと涼平くんがマイクを握り、特別ライブが始まった。


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