悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
そうだよね、きっとリカはバンドがどういうものかも知らずに、ただ柳を見たくて来ただけなんだろうから。
音と歌声と臨場感に、呆気に取られちゃうのはよくわかる。
柳達はカッコつけたくてバンドをやっているわけじゃないし、きっとあたし達のこともただのギャラリーとしてしか見ていない。
だからリカも、可愛い自分を見てもらおうなんて思惑は持っていても仕方ないと思うんだ。
少なくとも、このスタジオにいる間はね。
二時間ほどで練習が終わりになると、ちょうど時間はお昼時。
せっかくだから皆でご飯を食べようということになり、あたし達は駅の西側にあるスロースに向かった。
ユアフールの皆も常連らしいスロースに入ると、ランチを食べる人々で適度に混んでいる。
忙しいだろう時間帯にもかかわらず、四十代くらいのスレンダーな女性店員さんはせかせかする様子もなく、和やかにあたし達を迎えてくれた。
「あら、今日はおバカちゃん達だけじゃないのね」
「そう。だからマスターにデザートサービスでって言っといてください」
「了解。“大崎くんが出世払いで返します”って言っておくわ」
「なぜ俺だけ?」
音と歌声と臨場感に、呆気に取られちゃうのはよくわかる。
柳達はカッコつけたくてバンドをやっているわけじゃないし、きっとあたし達のこともただのギャラリーとしてしか見ていない。
だからリカも、可愛い自分を見てもらおうなんて思惑は持っていても仕方ないと思うんだ。
少なくとも、このスタジオにいる間はね。
二時間ほどで練習が終わりになると、ちょうど時間はお昼時。
せっかくだから皆でご飯を食べようということになり、あたし達は駅の西側にあるスロースに向かった。
ユアフールの皆も常連らしいスロースに入ると、ランチを食べる人々で適度に混んでいる。
忙しいだろう時間帯にもかかわらず、四十代くらいのスレンダーな女性店員さんはせかせかする様子もなく、和やかにあたし達を迎えてくれた。
「あら、今日はおバカちゃん達だけじゃないのね」
「そう。だからマスターにデザートサービスでって言っといてください」
「了解。“大崎くんが出世払いで返します”って言っておくわ」
「なぜ俺だけ?」