悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「ぁ……ごめんなさい……!」


はっとして慌てて謝る亜美。

もしかしたら、涼平くんが急に接近してきたから、反射的に身を引いちゃったのかも。

亜美は男子に極端に近付かれると、本人も無意識のうちに拒否反応を起こしてしまうらしいから。


訳がわかっていない様子の涼平くんに、何て説明しようかとあたしがアタフタしてしまう。


「あ、えっと、これにはちょっと事情がありまして……」


でもあたしが勝手に教えるわけにいかないし、どうしよう?

ぐるぐると考えを巡らせていると、俯いていた亜美が口を開いた。


「……私、男の人が苦手なの」


その声は、はっきりと聞き取れた。

亜美が男子に向かって、自分からこんなことを告白するなんて、あたしが知っている限りでは初めてだ。

あたしも、再び腰を下ろした涼平くんも、皆が黙って亜美の声に耳を傾ける。


「小さい時、ちょっと乱暴な男子に叩かれたり、大嫌いな虫をくっつけられたりしてから苦手になって……。急に近付かれたりすると、勝手に身体が拒否しちゃうの。
でも、涼平くんや皆が嫌いとかいうわけじゃ全然なくて、むしろ仲良くなりたいの! だから、だから……」

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