昼休みは花壇へ水やり
ー高橋大吾サイドー


入学式の日から気になる子がいた。


坂口希菜子。



肩までのボブの小柄な子で
下ばかり見ていたので表情は良くわからなかったし、この時は暗そうで地味な感じだなって思ってたんだけど



帰り道、俺の前に坂口さんが歩いてて


基本、フレンドリーな俺は坂口さんに話しかけようとして早足で近付こうとしたら


急にしゃがみ込んだんだ。


鳥の雛が巣から落ちて地面でウロウロしてたみたいだ。


それを優しく拾い上げて
おもいっきり背伸びして巣に返してやっていた。


「もう落ちたらダメだよ」

ってニッコリ笑ったんだ。


その笑顔はヒマワリみたいに暖かくて
本当に可愛かったんだ。


それからは毎日坂口さんの事が気になって見てた。


入学してすぐできた友達の三浦隆にはすぐに気付かれた。


隆も初めは

「坂口さん?
暗くて、地味で、
下ばかり見て顔が見えないし
なに考えてるかわかんなくねぇ?」


と言ってたけど、授業が終わった後に
一生懸命小さい体全部使って黒板を消してる時に初めて顔を良く見たみたいで


固まっていた


「坂口さん、
ありゃ詐欺だわ〜
いっつも顔が良く見えないから
わからなかったけど、目なんかぱっちりしちゃって、カワイイなぁ〜」



隆の言葉に焦った俺は
坂口さんの可愛さに周りの奴らが気付く前になんとかしたくてわざとボールを花壇の方に蹴ったんだ。
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