好きになんてならない!!
「ちょ……!!」
「此処は病院だ」
そう言うやいなや、不機嫌そうに携帯を此方に投げ渡した。
それを受け取った私も、負けじと不機嫌な顔をさせて対抗する。
「人の連絡手段、乱暴に扱わないで貰えます?!」
「院内に公衆電話があるだろ」
「は?大体、1秒たりともベッドから降りるなって言ったのは、何処の誰でしたっけ?」
「口だけは問題ないようだな。そんだけ達者に動けば、上出来だ」
そう含み笑いをすると、ゆうゆうと腕時計の針と点滴を見比べチェックをし始める。
この男、本当に性格が悪い。
若いナースが口を揃えて、三神先生で良かったですね!なんて、言ってきたけど。
一体、この男のどのあたりが良いと感じるのか、細かく正確に教えて欲しいくらいだ。
顔が良いからか?スレンダーだからか?
それとも、腕がたつからなのか?
「いやいや、腕がたつにしても、イケメンだったとしても、性格にはどう見ても、問題ありすぎでしょ?」
「……」
「あえてグラフにするなら、容姿98、仕事95、性格0、友情0、恋愛0……あれ、ゼロの方が多いじゃん。うふふ、全然大した事ないな」
ん?
なぜ、私を見てる?
「おい」
「はい?ああ、私一人で笑ってました?」
「自覚ナシか。もはや、それ以前の問題だな」
「?」
「いや、いい。じきに採血の時間だ」
そう言って、勢いよくカーテンを閉めると、病室を出て行った。