荘(仮)
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 季節は秋。
 冬の寒さを殺し、
 春の麗かさを妬み、
 夏の暑さを嫌った、
 四季の入る余地のない、そんな世界が在った。

 気が狂いそうな無音。
 人気のない静寂。
 凪ぎに揺られる黄金野原。
 赤い地平線の彼方から、一羽の鳩が飛んできた。
 その足には、一通の手紙。
 平成も過ぎたこの時世に、伝書鳩なんて廃れた物が飛んでいた。
 だがそれしか手段がない。
 隔離されたこの世界には、同じ外法でしか入れない。

 接触を拒む世界に、
 一波乱、舞い込んだ。

 受け取ったのは小さな少女。
 あどけなさと可憐さが同居した、女の膨らみに乏しい中性。
 人形と言える精巧な顔立ちに流れる金糸。造形としては完璧な、女性としては物足りない娘は。

 ひらり、と落ちた
 手紙を受け取った。
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