荘(仮)
「なんてためになる講義なんだ」
「何泣いてんだ椎茸?」
「子リスちゃん。お前も疾風さんの話は聞いておくべきだったぞ」
「おいカイト! お前巨乳派だろ?」
「微乳の良さも知っちまった」
「なんだあたしのことか?」
『……』
「おいおい、どうして黙りやがるんだてめえら」

 空気を読めげっし類。
 しかしなんて下劣な会話をする馬鹿共なんだろう。
 声は覚えたからな。
 貴様ら含めてあと二人。ちゃんと鉄槌を下してあげる。

「なんだ? どこかで死亡フラグが立ったような」
「ゲームのやりすぎかよ」
「せっかくのお楽しみなんだ。野暮なことはいいっこなしだぜ」

「盛り上がってるな。お前たち」

 やっと来た。
 暴徒たちの保護者様。

「子澄。放課後になって近隣の家に不法侵入したんだと? 松永先生から聞いたぞ」
「うえ!? でもあれはポンコツのせいで!」
「侵入した理由はそうでも、ノコギリを持ち出したのはお前だろ」
「確かに」
「立派な窃盗ですね」
「てめえら裏切る気か!」
「よって、貴様にはお説教だ」
「に、二時間正座ですか」
 にこりと笑う、保護者兼執行部部長さま。
 ちなみに、文武両道。
 どちらかといえば。

「体罰だ!!」

 ――ばちごーーーーん!!!

「うぎゃあああああああ!!!」

「きれいなローだ」
「縦回転する人間を見るのは二回目だぜ」
「…お前たちも回ってみるか」
『えっ……?』
「公共の場で淑女の象徴である胸の話に興じるなど。それがましてや男子!」
「巨乳派のお怒りか!?」
「しかし待ってください! 事の発端は疾風さん!」
「もちろん彼にも説教はした。以後注意してくれるそうだ」
「向こう説教でこっち体罰!?」
「老体と若者を一緒にするか!」

 ――ばちごーーーーん!!!

『ぎゃーーーーっっ!!!』

 あー。
 制裁は代わりにしてくれるようだった。
 南無、合掌。
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