Sting
Ⅰ 白磁

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12月末。
ロンドンでの仕事の引継ぎを終えて、出張を除けば約8年ぶりの帰国。


高校卒業と同時にアメリカの大学に進学し、日本の総合商社の支社に就職した後、アメリカとヨーロッパを中心に仕事をして来た。


日本の本社で仕事をするのは初めてで、生活環境を整えてから新年から出社するようにと言われているから、久しぶりの休日に何をして良いか戸惑うけれど、高校時代の友達には何も告げずに海外へ進学したから、連絡は取りづらい。


結局年末年始をだらだらとこまごま残っていた仕事をやるだけで終えてしまった、



1年の仕事始めの日、午前中から雪がちらつくでしょう、と言うお天気お姉さんに見送られ、家を出たら本当に雪がちらついていた。20~30分電車に揺られてついたのは『蒼透商事』という大きなビル。


受付の綺麗なお姉さんにロンドンから転勤してきた旨を伝えると、わざわざ課長が下まで降りて来た。


『あ、倖村さん、初めまして?になるのかな。永澤です。』

「倖村です、今日からお世話になります。」


永澤課長とはメールで何度もやりとりはしていたけど、実際に会うのは今日が初めて。課長というポジションに就いているには若い気がした。


永澤課長に連れられて着いた先は最上階から2階下の28階。人事部採用担当課。


学生を採用して研修課と一緒に研修を担当するまでが主な仕事。同じ課の皆さんに挨拶する前に、部長に一言挨拶を、ということで部長のデスクにやってきた。
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