Sting
Ⅱ 浅緋

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4月の面接解禁に向けて着々と準備が進を進める3月は、年度末ともあってどの部署も忙しい。


慌しい雰囲気がどこからも漂っていて、なんとなく落ち着かない。


入社式も控えていて、研修課では新入社員研修の準備もどんどん進んでいく。地方出張も重なって何かと大変。


毎日仕事に追われてなかなか休みが取れないのが影響したのか、最近は体調もあんまり良くない。


ついこの前の検診の結果もあまり芳しくなくて、原先生にはお小言を永遠といわれたけど、それどころじゃない。





ついに迎えた会社の筆記試験の日、水瀬と一緒に大きな筆記試験の会場を偵察に行き、特に問題がなさそうだったので本社に戻ってまた仕事をしていると仕事用の携帯が鳴った。


「はい、蒼透商事の倖村です。」

『…。』


電話に出たにもかかわらず、何の応答もない。間違い電話かな?と思って失礼しますとだけ言って電話を切った。この番号を知っているのは社内の人がほとんどなだから、なんだか不自然。


『倖村さん、』

「はい。」

『来週からの面接の割り当て、最終調整頼んで良い?』

「分かりました。」

『あと、その仕事終わったらちょっと良い?』

「…はい。」


普段から割りと物事をてきぱき進めていく永澤課長が、とても言いづらそうに最後の言葉を付け足した。何かやらかしたかな、と最近の勤務態度を振り返ってみるけど、自分で言うのもなんだけど、特段問題があるようには思えない。


一度そういわれたからにはどうしても気になって、目の前の仕事をペースアップさせて終わらせた。


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