Sting
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次の週の金曜日、朝から人事部は懇親会の準備に追われていた。昼から軽い研修があって、夜は懇親会。前日は別の会議があっていたから、事前準備が当日の午前中になってしまって、慌しい。
昼を過ぎてちらほらやってきた学生の受付をしていると、学生って若いなぁ、とひしひしと感じる。ひたすら名簿との照合して、名札を渡す作業を続けていた。
「こんにちは。」
『…こんにちは。あ、…。』
「お名前伺って宜しいですか」
『…紺野洸太です。あの…、ゆきさんですか?』
「あ…、洸太くん。お久しぶりです。また後でゆっくり。」
覚えていたことに驚いて、反応が冷たくなったのは否めないけど、学生の列も続いているからここで長話をするわけにもいかない。
すっかり成長した洸太くんは、昔の可愛い面影は無かったけれど、お兄ちゃんにそっくりな顔に成長していた。
懐かしいなぁ…。
無事に研修を終え、懇親会に移ったところで緊張した面持ちの新入社員にも徐々に笑顔が見られるようになった。
『倖村さん、』
「永澤課長、お疲れ様です。無事に研修は終わりましたね。」
『お疲れ様。紺野とは知り合い?』
「地元が同じで、割りと近所に住んでいました。」
『へぇ、あいつ期待の新人だよ。』