一難去って、またイチナン?
黒田くんは、今春入社したばかりの新人君。
私より五歳下の二十二歳。
実際の年よりも若く見えてしまうのは、ちょっと童顔だからか、眼鏡を掛けているのに目が大きいからなのか。男性に対して失礼かもしれないけど、カッコいいというよりも可愛いの方が似合う。
常に言葉遣いが丁寧で謙虚だし、聞き分けがいいから指導員の私としては扱いやすい後輩。
さてと、問題は……
今度こそ黒田くんに気付かれないように、小さく息を吸い込んでパソコンへと向き直った。
モニターには『PJ会議横通しの件』と件名に書かれたメール。思った通りの内容だったから、再び溜め息が溢れてしまいそうになる。
送信者は同じ課の青山主任、三十一歳。
直属の上司で、私の入社時の指導員でもある。
そして厄介なことに、元カレでもある。