一難去って、またイチナン?
早速、受信報告を見たのだろうか。
いや、私がメールを開くのを待ち構えていたに違いない。
斜め向かいの席から、青山主任の視線がちくちくと突き刺さる。気付かないふりを決め込んでモニターを睨みつけていたら、
「白石さん、三時から空いてる? 明日の会議前の横通しするから頼むよ」
青山主任の声が飛んできた。
「はい、わかりました」
仕方なく顔を上げたら、切れ長の目を細めて口元に意味深な笑み。
きりっとした目鼻立ちとシャープな顎ラインは、黒田くんとは全然タイプが違う男前。もしも上司じゃなかったら、元カレじゃなかったら、観賞用の男性にはぴったりなのに。
青山主任の視線を避けるように、モニターへと顔を埋める。ぐっと溜め息を堪えて、メールを速攻で削除した。