一難去って、またイチナン?
「青山主任、離してください」
「知華、その呼び方はやめてくれ」
訴えるような声に、恐る恐る顔を上げた。
青山主任の瞳が揺れている。
青山主任と別れたのは三ヶ月前。
彼が友人の結婚式に出席した際、新婦の友人だという私より五歳下の女の子と一夜を共にしたのが原因だった。
三次会まで参加して酔い潰れてしまった彼女を、彼が家まで送ってあげたそうだ。
朝まで過ごしたことは、ご丁寧に彼女自身が教えてくれた。彼と私がデート中、偶然彼女と出会った時に。
酔っていたから覚えていない。
彼女が強引に迫ってきたから……
と様々な言い訳を並べて、彼は平謝り。
私には許す気なんてなかった。
彼に対する気持ちは、いとも簡単に冷めてしまったのだから。
どうして好きになったのか疑ってしまうほど、急激に気持ちは離れていった。