鬼蜘蛛【短編】
鬼蜘蛛
ゴリ……パキ……
ピチャ……
ピチャ……
転がる餌の鎧を剥ぎ、着物を剥ぎ。
本性を露にした仲魔たちが貪り食らう音を背に、目の前にぶら下がる獲物をぼんやりと眺める。
粘りのある糸に絡めとられブラブラと揺れながら、その小さな獲物はきゃっきゃと笑い声を上げている。
生気に満ち溢れた新鮮な獲物。
だが……
「まだ、早いな。もっと大きくなった方が食いでもあるというものだ……」
そうだ
急ぐことは無い
まだ……
まだ早い……