Serendipity(セレンディピティ)
わたし、中橋真由は18歳。
3歳のころに両親が離婚、
母親と2人で生活していたのも中学3年の途中まで。
もともと水商売をしていた母親は
離婚してからというもの、
わたしの世話をせずに
仕事、男遊びだけで生きていた。
同じアパートに住んでいても、
朝夜逆転の生活の母親とは
たまにしか顔を合わせることはなかった。
毎日、テーブルの上には500円玉だけが置かれていた。
冷蔵庫も空っぽ。
朝ごはんは食べず、夜は300円以内で何か買い、200円は貯金。
中学3年になり、周りは受験ムード。
小さい頃から友達は男女問わずたくさんいた。
だけど、まさに浅く、広く、の付き合いだった。
みんなとは、それきり。
そんな中わたしは
中卒で雇ってくれる仕事を探した。
化粧にも興味を持ち、
幸運なことにルックスだけはマシなわたしを
ある日キャバ嬢にスカウトしてくれたのが神崎さん。
本当の年齢を伝えたものの、
元から大人っぽい顔立ちだったおかげで
雇ってくれた。
家の事情を聞かれ、話すと、寮も用意してくれた。