Serendipity(セレンディピティ)
そのことを母親に報告したのは
家を出る日の朝。
明け方に帰ってきた母親の部屋に
朝の8時に入り、そのことを話した。
最後に交わした言葉は、
「そうゆうわけだから出てくね」
「あっそう」
「今までありがと」
「感謝されるようなことしてねーし」
その時は、ああ、照れ隠しなのかなとか思ってしまった。
だけど、1ヶ月後に家の前を通ると
わたしたちが住んでた部屋は、
空き部屋になっていた。
わたしには、もう誰とも繋がりがないのだ。
おばあちゃんも、おじいちゃんも、お父さんも、親戚も知らない。
仲のいい友達も、いない。
孤独な毎日を何年も生きていれば
それが当たり前になって。
これから先わたしはどうなっていくのか
自分でも全く見えない。