Serendipity(セレンディピティ)
………それは、突然のことだった。
みやびさんから直接辞めろと言われた日から1週間ほど。
あれからはみやびさんもおとなしく、
いつも通りの毎日だった。
金曜日の夜。
いつものように誰よりも早く店を出る。
店から一駅分離れた寮。
寮と言ってもアパートで、
店のボーイや他の店の女の子たちが
暮らしている。
いつもヒールのまま歩いて帰り、
お風呂を沸かして疲れた体を温めることが唯一の楽しみだった。
「お風呂入ったら酎ハイでも飲もっかな。」
独り言を言いながら玄関の鍵を開ける。
「………」