Serendipity(セレンディピティ)
2 出会い
…………
割れた腕時計を見てみると
もう明け方の4時だった。
全身に痛みを覚え、
1人取り残された裏路地を抜けようと
重い身体を起こし、ふらふらと立ち上がる。
ネオンでいっぱいだった通りも
もう明かりは消えて、静かで人1人いない。
いるのは呑気なハトたちだけ。
「…痛…」
全身の痛みと、そして激痛の走った横腹。
Tシャツをめくり、横腹を見てみると
そこには大きなアザが。
「…女1人相手に男5人なんて…卑怯すぎるよ…」
わたしはあの見ず知らずの5人に
暴力を振られていた。
誰にも助を呼べず、気づかれず、
抵抗もできないままに。
弱みを握られ、こんな身体にされ。
何も考えられなかった。
ただ考えられるのは。
これがみやびさんの仕業だと言うことだけだった。