Serendipity(セレンディピティ)
…………
「………」
「…本当、大丈夫かね」
「おじさん、もう1枚毛布持ってきてくれないか」
「おう、わかった」
「……可哀想に…」
ほんのりと香るコーヒーの香り。
うっすら開いた目からは
温かいオレンジの明かりが包み込んでくれている。
冷えていたと思われる手足の指先が
暖房の暖かさでジンジン熱くなっていく。
「……ん、」
「ほれ、涼、毛布。」
「……あ、目開いた。」
「……え、」
「「………」」
これは、夢なのだろうか。
目を開けるとそこには、
優しそうな青年と、優しそうなおじいさんがいる。
わたしのような奴とは掛け離れた人すぎる。
幻覚でも見ているのだろうか。