Serendipity(セレンディピティ)



そしてその隣にいる毛布を抱えたおじいさんは70代くらい。

髪の毛は黒よりも白髪の方が多くて、
無精に生えた髭も白い。


この人もまた優しそうな雰囲気を持っていた。




茶色のチェックのベストを着ていて、
まるでどこか街角にある喫茶店のマスターみたい。




……ん?



「マスター…?」



「お前の言葉はさっきからよくわからない単語ばかりだな。」


「ハハハハ、しょうがない、さっきまで気を失ってたんだからね。それにわたしがマスターって、当たってるよ。よくわったねお嬢さん」




「……ここは…」



我に返り、少しずつ状況を把握していく。


ここは、コーヒーの香りが漂う、
昭和な雰囲気の喫茶店だった。


そしてわたしはその喫茶店の中の
大きなソファに横になり、

毛布もかけてもらい、おまけに目の前のテーブルには温かそうなミルクが置かれていた。




そしてきっと目の前の2人は
わたしを、拾ってくれたんだ。







< 19 / 30 >

この作品をシェア

pagetop