Serendipity(セレンディピティ)
そしてその隣にいる毛布を抱えたおじいさんは70代くらい。
髪の毛は黒よりも白髪の方が多くて、
無精に生えた髭も白い。
この人もまた優しそうな雰囲気を持っていた。
茶色のチェックのベストを着ていて、
まるでどこか街角にある喫茶店のマスターみたい。
……ん?
「マスター…?」
「お前の言葉はさっきからよくわからない単語ばかりだな。」
「ハハハハ、しょうがない、さっきまで気を失ってたんだからね。それにわたしがマスターって、当たってるよ。よくわったねお嬢さん」
「……ここは…」
我に返り、少しずつ状況を把握していく。
ここは、コーヒーの香りが漂う、
昭和な雰囲気の喫茶店だった。
そしてわたしはその喫茶店の中の
大きなソファに横になり、
毛布もかけてもらい、おまけに目の前のテーブルには温かそうなミルクが置かれていた。
そしてきっと目の前の2人は
わたしを、拾ってくれたんだ。