Serendipity(セレンディピティ)
「……あのおじいさんは、俺の叔父だよ。ここの店のマスター。」
不思議そうに見ていたわたしを察し、
青年が教えてくれた。
「叔父さん…?」
「ああ、実の父と叔父は年が離れていてね。」
「…なるほど…」
「俺は片桐涼(かたぎりりょう)。この店で叔父と共に働いている。」
「叔父さんはどっか旅行に行ったの…?」
「叔父はここのマスターだけどいつも世界中を旅してる。たまたま今週日本に帰ってきてたんだ。マスターって言ってるけどほとんどは俺が1人でこの店をやっている。」
「………ハク。」
「……は?」
「涼さんの喋り方もその優しそうで真っ直ぐな瞳も、何か見たことあるなって思ったらハクだ。ハク。」
「…なんだ、急に」
「ほらー!ハク!」
小さい頃、よく友達の家で見ていた
大好きな日本の人気アニメのキャラクター。
なんだか雰囲気が似てる、この人…。
「…これで黒髪おかっぱなら文句なしなのになあ」
「お前何を言ってるんだ。おかっぱなんかするわけないだろう。」
真面目にそう言われ、思わず笑みがこぼれた。
それを見たハクも、つられて困ったように微笑んでくれた。