Serendipity(セレンディピティ)



………



「本当にもう帰るのか?」


「…うん。本当、お世話になりました…」



朝食をご馳走になり、少しの間眠らせてくれたハク。

喫茶店はハクの気分で今日は臨時休業だそう。

…わたしのためだったら、
迷惑かけてばっかりだな。




時間はもう昼前。

わたしはハクに何度もお礼を言った。




「………」


「………」



「行くんじゃないのか。」


店の扉の前で足が止まるわたしを
ハクが突っ込む。




「………」


「…送って行こうか?」




「………」


黙って頷けば、ハクは「素直じゃないね」と言い、
わたしと一緒に店を出てくれた。



いきなりさみしくなってしまった。



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